(神代ベゴニア展示会続き その③)
クサンティーナ xanthina
大きいベゴニアといえば、これ。
「なんですか、これは⁈」と聞かれても「クサンティーナです」としか言えない私です。お客さんたちは大きさに驚いているのか、葉の縁が傷んでいるのが気になるのか、黄花がいっぱい咲いているのが珍しいのか…
「あのですね、この子も若い時は、いえ、別の環境で育つとまた違う姿なわけでして」もごもご言いながら案内する。
ガラス容器の中で美しくみずみずしくご機嫌なクサンティーナさん。
「え~!同じベゴニアですか」
知識がなくてお客さんの知りたいことに応えられないのがつらいです。が、そんなことも知識を蓄える良きチャンスなわけで、帰宅するとさっそく調べました。
xanthinaはラテン語で「黄色」を意味する。インド原産のベゴニアで、19世紀半ばのボタニカル誌に既に掲載、「黄花ベゴニア、または象の耳」と紹介されている。象の耳の喩えが秀逸!
リケノラ 地衣類のような
会場にある丸テーブル二つのうち、趣味のコーナーの方に置かれていました。よくこんなにも美しく育てられるものだ、花をたくさん咲かせるものだと感心します。
右奥の写真は、2022年の展示会の案内葉書きです。傑作ですね。
名前のlichenoraは lichen(ラテン語lichen,ギリシャ語leichen、「木の苔」「地を覆う、這う」といった意味)から来ています。lichenは日本語では「地衣類」、中国語に同じ。(話は逸れるがこれを「ライケン」と発音すると、ジオラマの中に茂みや灌木を表現する、あの緑色したジオラマ素材の意味になる)。
したがって地衣類lichenのような(=ora)ベゴニア、地を覆い、匍匐し、壁などもよじ登るクライマー的な性質があるからぴったりの命名ですね。
それにしても私はいつも思うんですが、最初これを見て「あ、ベゴニアだ」と発見者は思うんでしょうか。ビピンナティフィダやボグネリ、ポリロエンシスなど、「え!これもベゴニア?本当?」展示会場で毎年何度も聞かれる言葉ですが、私だって初めはショックでちょっと疑っていたくらいです。
いったいどうやってこの丸葉の可愛いベゴニアを見つけたのかしら。
するとまた出てきました「サラワク」。ベゴニア関連ではよく出会う地名です。わくわくするサラワクはどこにあるかというと、マレーシア、ボルネオ島北西部の海岸に沿った地域でした。ビーチから離れ、内陸部へ行けば、そこには熱帯雨林があり、公園として保護されています。
2014年のこと、台湾人のChe Wei Linさんは、とある市場でたまたまこの植物、リケノラを見つけます。これが生えているのは、左端のバウとパダワンの間(上の地図)、インドネシア国境に近いごく限られた地域だけだとわかりました。
Che Wei Linさんは 仲間の Ching I Pengと共に、2017年に論文「サラワクで見つかった新種ベゴニア11」を発表します。
ボルネオは現在知られているだけでも200種以上のベゴニアを有し、今後も更に新発見があるでしょうね。
私のサラワク
Begonia sp. Sarawak
左は展示会に出したものです。1年くらい前例会の寄付苗を入手。Tさんの苗でした。
ダイソーの蓋つきのガラスケースで育てることにしました。パルダリウムショップで買った軽石JUNGLE BASEを敷き、その上に黒土JUNGLE SOIL、そして小さなサラワクを挿して蓋をしました。右は3カ月くらいたったもの。青光りがしてとってもきれい。机の上に置いているので毎日眺めて楽しんでいました。伸びてくると先を切って横に挿しておきます。蓋を閉めたままにしたかったのですが、いよいよ大きくなり、蓋を外すことにしました。容器を透明のケースに入れ、伸びるにまかせると、20センチくらいになりました。花は2回咲きました。
寄せ植え作品
東京支部展示会の寄せ植えは毎年すばらしいんです!お客さんも褒めてくれるので、まるで自分のことのように誇らしく思っています。
数点紹介しましょう。全部載せられなくてすみません。
ざっと見てきた東京支部のベゴニア展示会。あくまでも私の個人的な感想であり、好みが偏っているかと思います。
展示会全体のレポートは会報誌に載ると思いますので、お楽しみに!