2024年5月の例会は18日1時半より♪

ショッキングピンクとベゴニア

皆さん、ショッキングピンクと聞いてどんな色を思い浮かべますか。

私は「彩度が高い濃い目のピンク」「派手なピンク」くらいに捉え、正直、深く考えたことは一度もなかった。
フランスベゴニア協会のFacebook(リンク先に貼ってあります)を見ていたら、珍しく動画があがっていて、映画『バービー』オフィシャルの画像から始まっていた。『バービー』はこの夏ヒットした映画だが、ベゴニアとどんな関係があるのだろう。

皆さんは映画をご覧になっていないとしても、広告などで見かけたことがあると思う。しかし今一度、上記の公式サイトで「色」を確認してほしい。バービーの世界を彩るピンク色、あれがショッキングピンクという色で、マリリン・モンローやレディ・ガガも好んで身にまとった色。この色を生み出したのはフランスのデザイナー、エルザ・スキャパレッリ(Elsa Schiaparelli、 1890- 1973年)Wikipediaで、庭に咲いていたベゴニアの花の色からヒントを得たという。一瞬写るベゴニアの画像をスクリーンショットして、先日の例会で聞いてみた。

「これ、仏ベゴニア協会のFacebookから切り取ったんですけど、名前わかります?」

Sさん「ドラゴンウィングのピンクだと思う。そうだよね?」

Kさん「ああ、ドラゴンウィングのピンクよ」

…とまあ、1秒で答えが返ってきた! さすがだ👏

エルザ・スキャパレッリはイタリア人で、ローマの裕福な名門出身。なんと実家がローマ・コルシーニ宮 (Palais Corsini) というのだからビックリ。その後デザイナーとしてパリで活躍。ファッションや香水他、多方面で才能を見せるが、新しい色も彼女の代名詞となった。

色にも名前がある。『フランスの伝統色』フランスの伝統色 | PIE Internationalという本によると、すべての色に名前とCMYK値、RGB値がついており、通称ショッキングピンクの正式名は下のリスト、233番をご覧あれ。

ローズ・スキャパレリ Rose Schiaparelli

・C7(シアン)

・M58(マジェンタ)

・Y5(イエロー)

・K0(ブラック)

この本で見る限り落ち着いた感じで派手さはない。「派手」という思い込みがいけなかったのかも。それにしてもマジェンタの値が58? 随分と低いなと思った。

もっとも紙質や印刷の条件で差異は必ずあり、印象も違ってくるだろう。

ところで、この色を見て私が連想したもの ー それはうちのネグロセンシスである。パルダリウムに苔などと共に植わっているネグロセンシスは、湿度の高さのせいで葉の緑が徐々に消え、ピンク一色になったものがある。これってもしかしてショッキングピンクに近い色かな? 早速調べてみよう。

イラストレーター(Adobe)のスポイトツールを使って色情報を測定する。葉の、より薄いピンクの部分が右上の数値である。ローズ・スキャパレリより幾分濃いが、まあまあ近い色かな。それにしても葉の表も裏も茎までもがピンクなネグロセンシスちゃん。おもしろがりながら観察中。

 

最後にひとつお断りを。

映画に使われたピンク色がローズ・スキャパレリであるとは言えないかもしれない。というのも以前読んだ記事に、映画の美術担当が、映画の世界観にふさわしいピンク色を見つけるために何度も何度も調合を重ね、こだわりの一色を見つけた云々…とあったから。こだわりが過ぎ、アメリカの有名塗料メーカーのピンク系塗料が世界的に品切れとなったというエピソードもおもしろい。(終わり)