新年会(1月20日)*~*303回例会*~*
まずは恒例のコンテストの様子からお話ししましょう。
出品者は8名、出品数11点。投票で3点が選ばれます。
一位はこちらTさんの、ドラコペルタとポリロエンシスの交配。
交配した日付は「2022年5月29日」と器に書いてあります。大変に低い発芽率の中で唯一生き延び、ここまで育ったというお話を聞くと、今ここに在ることが奇跡のように思えます。Tさんの心配や苦労もしのばれて胸がいっぱいになりました。
お花の真正面をお見せできなくて残念。ガラスが光ってうまく撮れなかったのでボツにしました。薄紅ピンクが何とも言えない美しさ。稀有な作品です。(下の写真⑧番)
二位はSさんのウェルシコロールです。
どんな環境で育てているか、詳しく説明してくれたので、葉の美しさの秘密がわかりました。キズひとつない美しい葉でしょう?大切なことは「触らない」。
蛍光灯を14時間点けて照明、肥料はラン用のものを3000倍に薄めたもの、潅水は容器の縁に沿ってぐるりとかける。このとき葉にかけないこと。とにかく触らないこと。(←これを何度も仰って笑いを誘いました)
細やかな配慮と大きな愛情を注いでお世話をしている様子、見に見えるようでした。(下の写真で見ると大きさがわかります⑦)
三位はCさんのレプローサ。
私は初めて聞いた品種です。(まあ、新入りなのでほとんどのベゴニアを知らないんですが)。花がたくさん咲いて葉も美しくすばらしい!うまくタイミングを合わせたものですね。
Cさんの育てるベゴニアはどれもこれも大きくのびのびとして、いつも感心しています。大きな会場などで見てもひときわ存在感を放ちます。(①)
皆さんおめでとうございます🎊
全体の様子はこちら。
講演会
遠路はるばるステキなお客様がいらっしゃいました。関西支部のY氏です。職業ピアニストであり、パン作りはプロ級、山登りも趣味のひとつという、大変多趣味なY氏。今回は「ベゴニアと私~その出会いから今まで~」というタイトルで講演をしてくださいました。
ざっと紹介します。
私が受け止めたメッセージ、キーワードと言ってもいいかな、それは「つながり」だと思います。ベゴニア好きが集まってつながって、仲間を増やしてベゴニアも増やして、更に次世代ともつながる。年長の者は若い人や次の世代のことにも常に気を配り、バトンを渡していく義務がある。素晴らしいお話でした。
小さなことの積み重ね
コツコツと小さな楽しみを積み重ねることが醍醐味だとおっしゃる。ベゴニアの葉挿しもパンを発酵させて膨らませるのも同じこと。山道を一歩一歩踏みしめて登るのも同じ。それも楽しんでやることが大事だと。「花なんて買えばいいじゃない」などと思う人は、ベゴニア好きの中にいないのでは? 地味にコツコツ作り育てるのがおもしろいわけですね。
出会いと縁
植物への興味は家庭&生育環境にあったようです。サツキや松の盆栽を楽しむ祖父は、温室も持っていたようですし、叔父の家で見た通販の冊子でベゴニアを知ったと話します。そのとき見た写真は「ベゴニア・マッソニアーナ」(アイアンクロス)だそう。その後、マッソニアーナばかり置いている喫茶店に入ったこと、またあちこちでベゴニアに出会うことから「自分はベゴニアにつきまとわれている?」と感じるようになります。
姫路ベゴニア同好会に入会し、時間があるときは兵庫県フラワーセンターに通い、1995年に日本ベゴニア協会関西支部に入ります。その頃祖父もベゴニアが好きだったことがわかり、ベゴニアを作る「運命」を自覚するように…。
本格始動
ワーディアンケースを購入したり蛍光灯を使ったり、またテラリウムのやり方を教わったりなど、ベゴニアの栽培に励みます。先駆者、先輩から学び、そういう方々や仲間たちと協力して普及に努める日々…… それはベゴニア協会の歴史の第2部(協会は1962年に発足、会報第一号は64年)と言ってもいいでしょう。私たちもY氏を通してその時代の雰囲気や熱気を感じることができます。
関西支部の歩みも大変興味深かったです。細かいことは長くなるので省略しますが、何といっても関西の方々は研究熱心だということ。アイディアを持ち寄り、試して、フィードバックも怠らない。知識も大切だから調べる。自生環境を知らないと置き場も決まらないわけです。テラリウムの蓋は開けるのか密閉か、肥料はどうするのか……。そうやってベゴニアの性質を突き詰めていく。つまり、ベゴニアに合わせるのだ、と言います。
関西支部の活動はとても活発です。若い人たちが次々に入会しているようです。それも別の入り口(違うジャンル)からベゴニアにたどり着いた人たち。いろんなタイプの人間がいるのは楽しいことでしょう。
それはYさんが地道にSNS発信(旧twitter)し続けた成果でもあります。もちろん年二回のベゴニア展示会の成功もありますね。若い人たちは積極的に挿し穂などカッティングも手伝ってくれるとか。交配含め新しいことにチャレンジする若者が、ベゴニア会を盛り上げ、牽引していってくれるなんてすばらしいことです。
あとは「天下一植物界」。(天下一武道会とは全然関係ない模様)。フリマ的な催しで、研究者から業者や一般人までが集うらしく、今の時代にマッチしたイベント形式だと思います。プラントハンターの長谷さんの話も興味深かった。知識がなければ新種も見つけられないなど……。
まだまだあるんですが、長くなりすぎて収拾がつかなくなるのでこの辺で切りますね。
Yさん、おもしろくてためになるお話、本当にありがとうございました。よく準備してきてくださいました。私たちもひたすらベゴニアを愛でて、仲間とつながって楽しく過ごしていきたいと改めて思いました。
またお会いしましょう。